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歴史/学園ファンタジー/ボーイズラブ小説『SHINOBI―忍―』 ■SHINOBI―忍―

時は現代―――。
武田信玄公のもとで活躍した忍びの末裔・疾風と銀牙は、何者かが狙っている『風林火山宝玉書』と、信玄公の御側室・春乃姫の末裔・香田翔という高校生を守るために東京へと向かった!? 歴史/学園バトルファンタジーBL!?
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ライト感覚のBL小説&漫画制作工房ブログです。ボーイズラブ・メンズラブ・JUNE・やおい・ショタ満載。甘切ほのぼの系からちょいH系まで幅広ジャンル。学園・ファンタジー・歴史・年の差・業界・リーマンなどなど。その他アニメ話や各種雑記有。

緋の覇王:第1章『戦焔の序章』《10》


ファンタジー小説『緋の覇王』
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1、運命〜プロローグ〜

10


 ランスの蒼い瞳がゆらゆらと揺れる。
「そんなお前になら……エレーナを任せられると思った」
「ランス……」
 シドは小さく呟くと、その蒼い宝石のような瞳を見つめ返した。

 シドにはランスの気持ちが痛いほど分かっていたのだ。

 この乱世の中で黄金色の髪に生まれついた自分は、都の兵に捕らえられて命を落とすことになるかもしれない。

 俺の代わりにエレーナを守ってやって欲しい、と…――。

 それは、ランスの無言の願いでもあった。
 大陸中の黄金色の髪に生まれついた領民たちが、捕らえられた後にどんな運命を辿るのかはもちろんシドも知っていた。
 男や女の区別なく、髪ごと頭皮を剥がされて火炙りになった者や斬首された者も大勢いる。
 まだ運の良い者は、真っ赤に焼けた鉄印で身体に烙印をつけられて奴隷階級に落とされ、その命が尽きるまで王侯貴族たちの下僕となるのだ。

 もし、ランスが捕らえられたりしたら…――。

 そう考えると、シドの双眸は言いようのない不安とぶつけようのない怒りにゆらゆらと揺れはじめるのだった。

「……冗談じゃない」

「え?」

 それまでランスに胸座を捕まれていたシドがその手を力強く掴んだ。
「冗談じゃないぞ、ランスッ」
「シド……?」
 その燃えるように熱い拳のぬくもりがランスにも伝わってくる。
「お前、そんな簡単に諦めるのかよッ。お前のその命……今まで大事に守ってきたティムース様やエルハイド様……クリスティ様……村の皆の思いはどうなるんだッ」
「そんなこと判ってるッ。俺だってそんな簡単に諦めるつもりはないッ。けど、もしも……」
「言うなッ!」
 その怒気を孕んだ声音に、ランスは思わず閉口してしまった。
「いいか、俺の前でそれ以上言ってみろ……例えお前でもぶん殴るぞッ」
「シド……」
「何が、もしかしたらだッ……俺は絶対に嫌だ……お前が殺されるかもしれないなんて………お前が一体何をした…!? いや、何もしていない……毎日を精一杯に生きてるだけだろッ!」
 おそらく、今まで大陸中で捕らえられ抹殺されてきた理不尽な領民の殆どが、ランスと同じように毎日を懸命に生きていた人々であろう。
「黄金色の髪に生まれたってだけなのに……畜生ッ!」
「よせ、シド。そんなことを言っていたことが知れたら、お前だってただじゃ済まない……」
「構うもんかッ! 俺だってエルハイド様に助けられなかったら……きっとあの時殺されてたか、どこかで奴隷として死んでたんだ」
「だったら……その命…投げ出すなッ! 大事にしろよッ、馬鹿野郎ッ!」
「それはこっちの台詞だッ、馬鹿野郎ッ!」


【To be continued】
…………………………
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緋の覇王:第1章『戦焔の序章』《9》


ファンタジー小説『緋の覇王』
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1、運命〜プロローグ〜



「多分、俺はエレーナのことを……好きというよりは……愛しているんだと思う」
 真摯にエレーナを大切に思うシドの気持ちが、兄としてエレーナを大切に思うランスの心に共鳴した。
 いきなり起き上がると、ランスはシドの胸座を掴んだ。
「それじゃ、何でそこまで気持ちが固まっているのに、エレーナに想いを打ち明けてやろうとしないんだッ!?」
「お、おい…ッ!?」
 突然乱暴に掴み掛かられて戸惑うシドに構わず、ランスの拳にぐっと力が籠もる。
「お前は……何で……エレーナの気持ちに答えてやろうとしないんだッ!?」
「そ、それは……」
 慌てて口籠ったシドは、ランスの真っすぐな眼差しを避けるように瞳を逸らすしかなかった。
 気がつけば、アモルワの湖から吹き込んでくる優しい風が、静かにこの若者たちの髪を乱すように揺らしている。

 やがて、二人の間の張り詰めた沈黙も終わりを告げた…――。

「俺は……」
 ランスの蒼い双眸が、哀しげに揺れながら目の前のシドを見つめた。

「俺は……お前のことが好きだ、シド」

「ランス……」

 静かにゆっくりと、そしてひと言ひと言を噛み締めるようにランスが語りはじめた。
「ずっと……ずっと昔から……お前のことを本当の兄だと思ってきたんだ」
 シドの胸座を掴んだままの拳から微かに力が抜けはじめていく。
「幼い頃から一緒にいるお前なら分かる筈だ。エレーナも……俺にとっては……可愛い……本当に大切な妹だ」
「な、何だよ……今更。そんなこと……言われなくても分か……」
「いいから聞けよッ!」
「あ、ああ……」
 再び力任せに胸座を掴み上げられてしまい、シドはそのまま思わず口をつぐんだ。
「俺は、ずっと昔から本当のお前を見てきたんだ。曲がったことが大嫌いな……馬鹿正直な奴で、仲間を思う気持ちは誰にも負けない。剣の腕は俺には及ばないが、馬術の腕は右に出るものは居ない。まぁ、俺と同じで学問は苦手だけど……悪戯の才能は天才的だった」
 ずっと一緒に過ごしてきた思い出を振り返るように、ランスが小さく口元を綻ばせた。

「だが……誰よりもエレーナを愛している男だ」

 ランスの蒼い瞳がゆらゆらと揺れる。
「そんなお前になら……エレーナを任せられると思った」
「ランス……」
 シドは小さく呟くと、その蒼い宝石のような瞳を見つめ返した。

 シドにはランスの気持ちが痛いほど分かっていたのだ。


【To be continued】
…………………………
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