俺の可愛いサンタ-4 《5》

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ぎこちない挨拶を交した後、歩はルカの心の内を探るように見つめ続けた。
「そう言えば……ルカはうちの大学の学生じゃないの?」
「え? あ……はい」
いきなりそう尋ねられて、ルカは思わず困惑した顔をしている。
ルカがこの世界の人間じゃないことや、サンタクロースの見習生だったことはもちろん周囲には秘密だ。
俺や加藤先輩ぐらいしか本当のことを知っている奴はいない。
その所為か、周りの人間達の中には必要以上にルカのことを知りたがる奴も少なくなかった。
素性のよく分からないルカの存在を、よりミステリアスに感じてしまうからなのだろう。
「ねぇねぇ、ルカってどこに住んでるの? 僕は池袋なんだけど………卒業した学校とかは?」
「あ、あの……」
案の定、歩の質問責めがはじまった。
しかし、このままでは本当のことを話せないルカが可哀相なので、いつものように俺が助け船を出すことになるのだった。
「あ…あは、は……な、何だよ、歩は知らなかったのか? ルカの実家はさ……俺の実家の近くなんだよ。ず、ずっと昔から知ってるっていうか……遠い親戚っていうか……」
殆どが口から出任せで申し訳ないが、ルカの秘密を守るにはこれしかない。
「ふーん。先輩って長野でしたよね? ルカも長野出身だったんだ」
「そ、そうそう! お、おばさんにも宜しく頼むって言われてるしな……だからって訳じゃないけど、今は一緒に住んでるから……」
「え?」
いきなり歩が驚いたように聞き返した。
「先輩とルカ……一緒に住んでるんですか?」
「へ? あ、ああ。もう一年になるかな………なぁ、ルカ」
「あ……うん」
柔らかい笑みを浮かべながらルカがそう頷くと、その幸せそうな顔を歩がじっと見据えていた。
「……ふーん、一緒に住んでるんだ」
「え?」
聞こえるか聞こえないかくらいのその小さな囁きを聞いてしまったルカは、たまらなく不安そうに揺れる瞳で目の前の歩を見つめた。
歩のその綺麗な瞳の奥には、何か微かに挑戦的な炎が燻っているような気がした。
おそらく、この時のルカはそのことを既に感じていたのかもしれない。
「……どうした、ルカ?」
「え? あ……な、何でもないよ……あは、は……」
さっきから様子が変なので俺が突然尋ねると、ルカは大丈夫だよと笑って誤魔化した。
「いいか、何かあったら……ちゃんと言えよ」
「うん、分かってる……」
そんな二人のやりとりを見ていた歩が、今度は甘えたように俺の右腕に腕を絡めてきた。
「……な――んちゃってぇッ! あははっ……ねぇねぇ先輩、僕も一緒に住ませてよっ」
「なッ! バ、バカッ……うちのアパートは狭いんだからそんなに住めるわけないだろッ」
「え――ッ!? じゃあ、どっかに引っ越せばいいじゃん」
「あのなぁ……」
冗談が過ぎるだろうと俺が言い掛けた時、長身の爽やかそうなイケメン青年がクスクスと小さく笑ってダッフルコートを脱ぎながらやってきた。
「……おいおい、あんまりからかうなよ……歩。後藤が可哀相だろ?」
「あ、藤野」
その青年の顔を見るなり、歩は落胆したようにやれやれと肩を竦めた。
「げげッ、藤野修二かよッ」
藤野修二(ふじの・しゅうじ)は、俺と同じ学部でサークルまで一緒という腐れ縁な奴である。
【To be continued】
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