メフィストフェレスの恋人たち《11》

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「いいんですよ、気にしないで下さい。いつものことですから……」
「そうそう。ほっとけばちゃんと元に戻りますって……どうせまた、栗あんパンが手に入らなかったからあのオヤジとラブラブになれないかもーとかって落ち込んでんだろ?」
健吾が呆れたようにそう言い遣ると、何やら背後から殺気が漂ってきた。
「……ふーん……芦名先輩……誰がラブラブになれないんですか?」
「うわッ! な、何だよッ、沙樹っ! 脅かすなよッ!」
健吾の後ろには、どんよりと恨みつらみを含んだ爆発寸前の低気圧みたいになった沙樹が立っていたのだ。
「……どうせ……」
「うッ!」
いつものように機関銃の如く言いたいことをぶちまけるのかと思い、慌てて身構えた健吾と真琴の予想は思いっきり拍子抜けに終わった。
「あ、あれ?」
明らかにいつもとリアクションが違う。
「……どうせ……どうせ……僕なんか……ラブラブにはなれないんだ……分かってるよ」
「へ?」
何やらブツブツと悲観的な台詞を呪文のように繰り返している。
「……どうせ……僕なんか……」
そう言って長い睫毛を伏せた沙樹の双眸には、嘘のように美しい天使の涙が浮かんでいたのだ。
「うぇッ! う、うそぉ……お、鬼の目に涙……?」
「お、落ち着け、真琴ッ! 俺たちがあの涙に何度騙されてきたと思ってるんだッ!」
「あは、は……そ、そうだったよね」
出会った頃からずっと沙樹のあの涙には何度振り回されてきたことか。
特にひどい目に遭ってきた被害者の健吾がそう言うのも無理はない。
「ふん……可愛い後輩がこんなに苦しんでるのに……芦名先輩って……他人を信用できないなんて……ちょっと性格がねじ曲がってるんじゃないんですか?」
「な、何いぃ―――ッ!?」
さすがの健吾も、これには頭から湯気を出して怒り出した。
すると…―――
「ホッホッホッ……仕方ないのう。そんな仏頂面してたんじゃ美味しいもんもマズくなってしまうぞ」
「えっ?」
さっきからじっとちゃぶ台でお茶を啜っていたヨシエ婆さんが声を上げて笑った。
【To be continued】
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■SHINOBI―忍―














