メフィストフェレスの恋人たち《10》

♪OPイメージテーマ曲を聴く
「いやー、何だか悪いみたいっすよねぇ」
「あは…は……すみません……みんなでご馳走になっちゃって……」
真琴と健吾が頭を掻きながら照れくさそうに笑った。
「いやいや……ほら、焼きたてのジャムパンじゃよ。栗あんパンじゃなくて悪いが、折角ここまで来てくれたんじゃから食べてお行き」
そう言って、『仲村屋』の女社長であるヨシエ婆さんは、ミルクのたっぷり入った紅茶と竹製のパン籠に先程焼き上がったばかりのジャムパンを数個入れて持ってきてくれた。
「わあッ! 美味しそうッ!」
「それじゃ、遠慮なく……」
「いただきまーすっ!」
小踊りしそうな真琴と健吾は、そのまま勢い良くジャムパンに噛りついた。
「ほっほっほ……若いもんは食欲が旺盛で羨ましいのう」
あの店頭でのひと騒動の後、店内の事務所に通された沙樹たち三人は、隣の従業員用の休憩所になっている四畳半のこじんまりとした畳部屋に案内された。
家具などは何もなく、ただ部屋の中央に使い古された年代もののちゃぶ台が置かれているだけのガランとした部屋だが、何となく懐かしくて落ち着いた雰囲気だ。
どこか、昭和初期の香りのする部屋である。
そして、栗あんパンを買いにきたものの、売り切れてしまって悔しがっていた可哀相なこの三人の青年に、ヨシエ婆さんがジャムパンをご馳走してくれたのだった。
「おや? そっちのマリリン・モンローみたいなお兄ちゃんも、こっちにきて早くお食べ」
そのヨシエ婆さんの呼び掛けにも、当の沙樹はただ振り返って頭を左右に振っただけで今にも寝込んでしまいそうな顔色だった。
「おやおや、こりゃかなり重傷みたいだねぇ」
事務所の休憩所に通されてからも、沙樹はずっとあの調子で膝小僧を抱えたまま縁側に座り、魂が抜けたみたいにぼんやりと店の裏庭を見つめていた。
「いいんですよ、気にしないで下さい。いつものことですから……」
「そうそう。ほっとけばちゃんと元に戻りますって……どうせまた、栗あんパンが手に入らなかったからあのオヤジとラブラブになれないかもーとかって落ち込んでんだろ?」
【To be continued】
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■SHINOBI―忍―














